銅・真鍮
銅は導電性、熱伝導性に優れた素材です。
導電性が高い性質を利用して電極や配線に利用されたり、熱伝導性が高い性質を利用して調理器具などに使われたりしています。
加工性に優れている一方で、酸化しやすいというデメリットもあります。
真鍮は銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものになります。亜鉛の含有量を変えることで、物性値が変化します。比較的安価で、加工しやすいことから様々な工業製品に利用されています。
銅加工品がよく使われている製品
一般的な銅の特性について
①加工性が高い
伸ばしたりたたいたりしても脆さがない為、曲げ加工や絞り加工が容易にできます。
またメッキやハンダ付けがしやすい金属です。
②電気をよく通す
銅は金属の中でも高い電導性をもっています。
この特性を活かして電子機器等に使われています。
③熱をよく伝える
銅は熱伝導性も高く、
調理器具等に使われています。
④抗菌作用がある
銅の持つ微量金属作用が抗菌効果を発揮。病原性大腸菌O-157などに対する銅の超抗菌性能が実証されています。
⑤耐食性がある
銅の表面にできる保護被膜が
腐食の進行を防ぎます。
海水に対しても耐食性を持っていますが
化学物質には侵されます。
⑥きれい
銅は美しい色彩や光沢を持ちます。
建材等に使われて建物を美しく彩ります。
銅は、金属の中でも熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れているため、それらの性質を活かして情報通信や精密機器、産業用途としても幅広く利用されています。
高い熱伝導性を活かした例として冷却用途があります。熱伝導性が高いということは熱くなりやすい反面、冷めやすい性質も持つことになります。アルミニウムや苛性ソーダの精錬過程では、大きな電流を交流から直流へ変換する際に、半導体に大きな熱影響が及びます。そのため、熱伝導の高い銅に冷却水を循環させ、熱影響を抑制させることができます。
熱伝導性を活かしたもう一つの例として、クライオポンプがあります。クライオポンプは、真空ポンプの一つです。真空容器内に極低温面を作ることで蒸気圧が低下し、気体が凝結、吸着します。吸着した気体を排気することで真空状態が作られます。この極低温面を作る際に熱伝導性の高い銅が使用されます。
その他にもテレビ、パソコン、エアコンなどの家電製品にも使用されています。熱伝導性が高いということは熱くなりやすい反面、冷めやすい性質も持つことになるので、エアコンや冷蔵庫を作るのに適しています。また銅の加工がしやすいという利点も家電製品内部の細かな部品を作るのに重宝されています。
工業用で使用される銅の種類について
材料名 | 材料記号 | 特徴 |
青銅鋳物 | CAC403(BC3) | CAC406に比べて、耐圧性、摩耗性、引張強さ及び伸びが良い。鉛浸出量は少ない。 |
CAC406(BC6) | 耐圧性、耐摩耗性、被削性及び鋳造性が良い。 | |
無酸素銅 | C1020 | 導電性・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こす恐れがない。 |
タフピッチ銅 | C110 | 導電性・熱伝導性に優れ、展延性・絞り加工性・耐食性・耐候性がよい。 |
りん脱酸銅 | C1220 | 展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性がよい。 還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こす恐れがない。 |
黄銅 | C2700 | びょう、小ねじ、ピン、かぎ針、ばね、金網などに使用される。 |
真鍮 | C2801 | 強度が高く、展延性がある。 |
快削黄銅1種 | C3602 | 被削性に優れる。展延性がある。 |
快削黄銅2種 | C3604 | 被削性に優れる。 |
りん青銅 | C5191 | ばね性に優れ、強度が高く、曲・絞り加工性が良い。 |
アルミニウム青銅 | C6191 | 耐摩耗性、耐食性に優れる。 |
銅の加工特性について
銅は、金属の中でも熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れているため、情報通信や精密機器などの先端産業の部品として多用されています。
さらに、柔らかく切削効率がいいという性質を持っているため、マシニング加工によく用いられる素材の一つです。
銅のマシニング加工
銅は柔らかく一般的にマシニング加工に優れています。
その反面、溶解温度が低く刃先に溶着しやすい性質や、延性に富んでおり切れ味の悪い工具で切削すると仕上げ面粗さ精度の低下や加工変形を引き起こす可能性があります。
そのため品質管理には十分な注意が必要です。
銅の板金加工
銅は柔らかい金属でありながら脆さがないので、加工性にすぐれています。曲げ加工や絞り加工が容易に出来ます。
しかし、銅板には圧延方向に素材の流れがあります。この流れに逆らって曲げ加工をすると、割れなどの原因になります。
また、曲げ加工を行うと、曲げの内面が縮み、曲げの外面は伸びます。銅板がどの程度伸び縮みするかをあらかじめ計算してから曲げ加工を行わないと、加工後の寸法にズレが生じ、やり直しが必要になってしまいます。
銅のプレス加工
銅は柔らかく、プレス時の変形誤差が大きい為、注意が必要です。
金型の少しの誤差が製品に反映される為、金型のメンテナンスをこまめに行わなければなりません。
銅の溶接加工
熱伝導率が高い為に加えた熱が逃げやすいです。また熱膨張率も高い為、溶接の熱で変形しやすいです。変形した溶接部をそのまま冷やすと割れが生じたりもします。
銅を溶接する方法として、ろう付けが用いられる事が多いです。
銅の品質管理について
銅は刃先に溶着しやすい性質を持っているため、品質管理として次の2点が重要になります。
1点目に、加工には超硬素材を使用したすくい角の大きいシャープな刃先を持つ切削工具を使用することが大切です。
すくい角の大きい工具では、銅粉が工具への溶着を防止することができます。また刃先をシャープに保つことにより、切削抵抗が増加して切削面が荒れることを防ぎます。
2点目に、銅のマシニング加工では、油性のクーラントの使用が重要です。
溶着を防ぐことを目的として、刃先を冷却するクーラントですが、銅の場合では水溶性クーラントの使用では変色が起きるため油性クーラントが推奨されます。またクーラントを使用することで、切削速度を高めることができ、良好な加工面を実現することにより、バリの発生を抑えることができます。
銅加工のコストについて
銅は柔らかいことから加工が簡単と思われそうですが、上記で述べた様に柔らかいが故に通常の金属と同様に扱えません。特別なノウハウが必要です。
また、銅は鉄に比べて高価でありながら、近年値上がりの動きが激しいです。
このことから加工費、材料費ともに高コストになってしまいます。
渡邊製作所の銅加工について
先述の銅加工の品質管理にも記載がありますが、当社では水溶性クーラントによる変色防止についても、生産計画を考慮しながら、加工後長時間放置をしないような工夫や、変色防止剤などによる予防も行っています。
さらに、使用する刃物も粘性の高い金属の加工に適した刃物選定を行い長時間の連続加工が行えるような体制を作っています。
当社のパレットプールタイプの横型マシニングセンタやFMSと組み合わせることで、さらに効率の良い加工を実現できます。
当社の特徴
当社の大きな特徴として、銅の材料調達から加工・ろう付け・表面処理などを一貫生産で対応いたします。上述した様に、銅は高コストの材料です。加工サプライヤーにとっては、加工リスクが高く、材料の自社調達を嫌がる会社も少なくありません。
また、銅の表面処理で多用される銀メッキも使用する金属の性質上、非常にコストが高い表面処理となります。
つまり、材料・表面処理の双方でリスクが高く、きちんとリスク管理が出来ている会社を選定する必要があります。
銅加工の実績と取り組み
当社は、年間の銅材の仕入金額は約6500万円・銀メッキ製品の売上件数が約800件に達し、十分な実績があります。
最近では、銅と真鍮の異種素材のろう付け製品にもチャレンジし治具設計からはじまり、フラックスやろう材の選定、入熱方法のタイミングや時間管理等お客様と二人三脚で試行錯誤しながらモノづくりを行ってきた経験があります。
銅鋳物の加工
最近、特に当社にご要望が多いのが銅鋳物の加工品です。
当社でもよくある事例として、加工を行おうとした機械オペレ―ターから「支給された鋳物が悪くてこれでは削れないよ!」という様な、お客様が鋳物サプライヤーと加工サプライヤーの板挟みになってしまうパターンです。
他にも鋳巣などが発生し、鋳物不良により納期管理が煩雑化しているお客様は多いようです。(お客様の中には、鋳物と機械加工が別担当になっており、お客様社内の調整でも苦労しておられる方も)
これを解消する一番いい方法は、【加工サプライヤーに鋳物材料を一貫で手配してもらう事】
そうすることで、納期・品質を一元的に管理し納期管理の煩わしさから解放します。
その為には、信頼できる鋳物サプライヤーとのお付き合いがあり、加工実績が十分にある会社を選定する必要があります。
当社は銅鋳物の加工実績として、約50種・年間で7000個程の豊富な加工実績があります
図面を1枚頂ければ、材料調達から、曲げ・ろう付け製品完成まですべてを当社で請け負い、一貫して行うことで総合的なコストの削減を実現します。
銅の加工実績
安心できるサプライヤーをお探しでしたら渡邊製作所へ!
昭和53年の創業時より、渡邊製作所は「モノづくりはヒトづくりである」と考えてきました。
製品を加工するのは機械ですが、それを操作するのはヒトです。さらに、検査や検品、出荷に至ってはヒトの力が必ず必要になります。
弊社は製品をただ単に加工するのではなく、モノづくりに携わる技術者の育成にも力を入れています。
例えば、国家技能検定や品質管理検定などの資格取得の支援や社内での品質管理教育を行っています。
お陰様で大手企業を含めた多くの企業様と取引しています。
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